行ってみたいとは思っていたけれど、
ろくすっぽ知りもしなかった
屋久島。
縄文杉があって、もののけ姫のモデルになった森があって
鹿児島の下にある丸い島で。
縄文杉まで行くには結構大変…。
屋久島へ行ってくる!
会社のスタッフや仲間にそう伝えると、
ーあ。縄文杉観てくるんだねー。いいねぇ。
口を揃えて言われた。
でも、縄文杉コースは往復22km、都合11時間を要する。
宿の場所にもよるけれど、早朝4時、5時にガイドさんにピックしてもらって
6時頃からスタートする。
二泊三日の
屋久島ステイ中日にこれをやっちゃうのは
さすがにちょっと自信ないよね…。
4人文句なしの意見一致で、
苔むす森と
太鼓岩コースを選んだのだった。
こちらのコースは所要6時間ほどなので
宿までガイドさんが来るのは8時。
結果、のんびり朝ご飯。

おいしいものがちょっとずつ乗った女子受けするプレート。
これにパンを好きなだけ、そしておいしいコーヒー。
そうして時間ぴったりに宿へやってきた
ガイドの井手さんのクルマで登山口へ向かった。
途中、バイクでは絶対走りたくないタイトなコーナーが続いて、
登山口自体が結構な標高にあることをこの時点で知ったりした。
ガイド付きのトレッキングはこれが初めて。
参加の8名は老若男女、登山経験なしの4人を含めて
関西からの参加者もいて、順番に自己紹介からスタート。
準備運動の後木道を登り始めて、
雨上がりのため水量の増した川にかかる吊り橋を渡る。

北アルプスとさして変わらない出で立ちだったりする。

ここから先はどこででも水が飲めるというだけあって
見目にも美しい流れ。
苔むす森の手前からすでに苔だらけ。
持って帰って育てたくなる愛おしさだ。

このあたりはまだまだラクに歩ける登山道。

花崗岩の大きさがいちいちハンパない。

今回一目惚れしたスギゴケ。
緑と茶色が混ざり合っていて、動物の毛皮のようにも見える。

木漏れ日が苔を一層美しく魅せるわけで。

幹も枝も根も岩も石ももう全部がビロードのよう。

屋久杉はもうそこかしこにあって。
だんだん見慣れてくるんだけど。

この組んず解れつなヤツはインパクト大。
どこか妖艶。

中にはこんな固く滑らかな根を堂々さらす大木も。
底知れぬ生命力を感じる。

根に躓かないよう下ばかり見て歩かないとならない箇所も
少なくない。

ところどころ、勾配がきついところもあるけれど、
コケが生えていても花崗岩ゆえ滑らないのが非常に有り難い。

3時間ほど登ってランチ予定のスポットに到着したところで、
ランチ食べる前に頂上まで行っちゃいましょうとガイドさん。
ザックを下ろして身軽になって、最後の急登に汗を流す。

ところどころロープや木の枝を頼りながら、
15分ほどでいきなり視界が抜けた。

大岩の向こうは奈落。スリリングこの上ない
太鼓岩頂上。

こんな晴天はホントに久しぶりですよって
ちょっと前にもどこかで聞いたような…。
気持ちのいい頂上を20分ほど満喫して
ザックを置いたところまで下りて、
宿で用意してもらったお弁当でランチ。
限界近い腹ぺこだった。

ガイドさんがサーモボトルに入れてきたお湯で
なんとインスタント味噌汁を作ってくれた。
9人分のお湯といったら2L近い。
湿度と暑さで汗をかきっぱなしだったので塩分もうれしい。
食後、ちょっと寄り道といって案内されたのは
とてつもなく大きくてあり得ないバランスで佇む大岩。

雨天時は、この中でランチをすることもあるんだそう。
中は7、8人入れるくらいの空洞になっていた。
さてさて下山しましょうか…と歩き出してしばし、動物の声が。
ヤクザルの声だとガイドさんが言うが早いか
ガサガサと草木を揺らしてヤクザル親子が登場。

←クリックで拡大
動きが早くてろくすっぽ撮れなかった。
ヤクシカが最後まで姿を見せてはくれなかったのがザンネンだった。
さっさかさーと下ってきて、登山口で整理体操。
ー駐車場からクルマを取ってくる間、川に脚を浸してください。
ー疲れの残り方がかなり違います。
とガイドさん。
さすがの気遣いだ。

コンプレッションタイツが上まで上がらないので、
そのままひざ上まで入水。
あぁー気持ちよい。
ちなみに脚を浸す意外、森の中は水遊び厳禁。
午後4時頃、ただいまーっと宿着。

ーお風呂入れますよー。
ー出たらビールいただけますぅ?
ーいいですよぉー。
ひゃっはーっ!!
そんな流れで夕食。

この日はトビウオの丸ごと唐揚げに歓喜!!
アタマまで全部いただいた。
デザートは
屋久島の郷土料理
かからん団子。
ヨモギの葉を使った草餅で素朴なおいしさ。
そしてこの日も焼酎空いた。

島内の土産屋さんははもちろん、ドラッグストアでも売られている
三岳は
盤石なウマさだろうから、違うヤツから攻めようって作戦だった。
もちろん4人とも
三岳は買って帰った。
さて翌朝はチェックアウト。
さっちゃん姉妹はもう1泊してカヤックを楽しんだ。
のーんびりとした
屋久島空港の出発ロビーから
かんかん照りの滑走路を眺めてたら、
東京での生活っていったいなんなんだろう。
なぜあんなに暮らしにくくて癒しのないところに
今までもこれからも自分はいるんだろうって気になって
ため息ばかり漏らしたのだった。

おしまい。