予定の電車に乗れなかった上に、ひとつ前の駅で降りるという
ポカをかました相棒を手にあせ握りながら空港で待って、
行列している手荷物検査場へ駆け込んだのは定刻15分前。
グランドのオネーさんに先にQRコードでチェックインだけしてもらって
やっとまともに呼吸しながらチェックゲートをくぐる。
遠い遠い18番ゲートに半分息切れしながら辿り着いたら
すでに搭乗が始まってて。
これだけ飛行機に慣れているワタシだけれど、
こんなにバタバタな搭乗は初めて。
はふーっ。
するっと離陸してあっとう間の8時半に着陸したのはこちら。
関空初見参。

南海電鉄を乗り継いで、こんな傾斜のケーブルカーに乗って

我が家から6時間半をかけて辿り着いたのはここ。

今年で
開創1200年を迎える
高野山。
初めて尽くしの関西旅、しかも
高野山。
一度は行ってみたいと思っていた仏教の聖地にやっと到着。
そんなわけで、今日は
高野山をたっぷりとレポ。
高野山は弘法大師、つまり空海が開いた真言宗の総本山。
2004年には「紀伊山地の霊場と参詣道」として世界遺産に登録されている。
なので当然ながら外国人客が多く、昨今日本国中どこででも遭遇する
隣国の方はもちろん、欧米の方がとても多かったのが印象的。
さらに、バイクもどっちゃり。
バイク乗りのワタシでさえ、うるさいと思った次第。
標高は850メートルほどで下界よりも5℃ほど低い。
さて。
駅からは、人も一般車輛も通れないバス専用道路をクネクネと進み、
車窓からいよいよ
高野山の入口が見えたときは
思わず“すごい”と口をついてつぶやいてしまった。

凛として荘厳な独特の空気を感じさせる風情がある。
宿の近くでバスを降りて、GoogleMap片手に場所を探しつつ、
空腹のあまり目についた甘味処へふらりと寄って、
高野山でのひと口目となる大好物麩饅頭にかぶりつく。

高野山内には117もの寺があって、そのうちの52の寺が
敷地内で宿坊を営んでいる。
参拝者のための宿泊施設なのだもの、泊まらない手はないわけで、
吟味して選んだのはこちら、
上池院。


トイレと洗面がついた宿坊にしてはちょっと贅沢な造り。
床の間はこんなあしらい。

この手の切り絵が高野山の至る所で目についたのだけれど、
藁の無い高野山で七五三縄の代わりに飾るものとして
空海が伝授したのだそう。
ランチは土産物屋の2階であっさりと鶏南蛮そばで済ませて、
奥之院参詣開始。
ここから杉並木が続く
奥之院の参道が続いている。

霊験あらたかなどとよくいうけれど、
滅多に使うもんじゃないな。
これぞ、ここぞ霊験、言葉にできないパワーに満ち満ちている。

杉の大木に生した苔、悠久の時の流れを感じさせる
戦国武将はじめかつての豪族たちの数多の墓石、
卒塔婆の数々…。
これぞパワースポット!なのだろうけど、
ひとつ間違うとおどろおどろしさをも感じる。
では主立った武将たちの墓など。
まずは武田信玄、勝頼。

北条さんち。

上杉謙信も見た覚えがあるのに画像がない。
織田信長。

豊臣さんは参道から一本入ったところにあるため
まず墓標が出ている。

敷地は広いが墓自体はこじんまり。

石田三成。

墓に入ってしまえばみな静かなもの。
空海の導きのもと、因縁も失せたことと思いたい。
企業墓は結構ユニーク。
キリンはまぁ普通なんだけど

やってくれますヤクルト

福助はなにはなくとも福助人形だし

観光客の笑いを誘う新明和工業さんのロケットなどなど。
奥之院前の御廟橋から先は帽子、サングラスなどは取り、
撮影も禁止のため画像はなし。
心の目に留めるのみ。
さて、宿付近から
奥之院まで行って返って2.5キロほどか。
時間はまだ2時を回ったころだったので、
高野山における
奥之院と並ぶ聖地壇上伽藍、
さらには金剛峰寺へと足を伸ばすことに。
道中、塀の上のこんなところに目がいったりする。

ガードレールは木製。

さて、壇上伽藍でもっとも目を惹く根本大塔、どーん。

朱塗りと白壁が青空に映えて絶景なり。
200円を払って入った内部はきらびやかで。
冷えきった床をゆっくりと歩きながら細かな装飾に見入った。
渋い。
桜が咲いていたらどんなにキレイだったことか…。

そして金剛峰寺。
獅子や象の彫刻を見つけるのもたのしい。

ここは石庭が見事だった。

10キロも歩いていないはずなのに、膝の裏が痛かったり、
最近痛めている股関節がギシギシいってたりで、
お酒を買い込んでやっと宿へ。
ゆっくりとお風呂に浸かって食事を待つ間一献。

仏教界ではお酒のことを般若湯と呼ぶらしい。
“酒”ではないので飲んでもよいとするへ理屈なんだろか。
山内でも売られていたので買い求めて持ち込んだ。
夕食の説明に来られたお坊さんが、
お酒はいかがしますか?とおっしゃるので、
正直に、持ち込んでいると伝えたところ、
まったく構いませんとのこと。
ナイス!!
夕食は廊下を挟んだ個室に用意されていた。
お坊さんたちはまるで黒子のように
ほとんど気配を感じさせずにもろもろの設えを整えるのだ。
夕食も然り。
用意させていただいてよろしいですか?と聞きにこられ、
いくらもしないうちにどうぞと言われて
部屋に行くと魔法のように準備がされていた。

精進料理を中心とした和食で、通常の三之膳より品数が多くなっている。
それでも一般的な旅館の到底食べ切れない量の夕食よりも
常識的なボリューム、しかも出汁を効かせた薄味で美味。
味わいはマグロなのだが、色味からしてなにか手が加えられている。
塩気と昆布の風味でおいしい。

丁寧な仕事をされた炊きあわせのかぼちゃ。
こっくりとした味わい。

名物ゴマ豆腐。
名物にうまいものなしというけれど、これはもっちり濃厚で
テッパンのうまさ。
買って帰りたかったけれど重さに負けた。

お吸い物の具のそうめんは折り畳まれたまま
お行儀よく入ってる。
こういうものなのか、それとも敢えてこうしているのか不明。

添えられた封筒の中にはこんなものたちが。
お数珠は明朝のお勤めでお使いくださいとのこと。

般若湯をちびりちびりしながら、
歩き疲れたこともあって10時過ぎには正体がなくなってた。
明日に続く。