FC2ブログ

なおねおなおん -naoneonaon-

いつか振り返る日のためのワタシメモ

<< 2006-07- | ARCHIVE-SELECT | 2006-09- >>

| PAGE-SELECT |

>> EDIT

『龍時』 「最近、読んだ本を教えて!(84696)」

野沢尚著。

気にはなりつつ、ずっと読まずにいたんだけれど、
W杯が終わってしばらくしてから読み始めた。

日本を捨てる覚悟で飛び込んだスペインで、
肉体と魂に深々と刻まれた、熱く激しいサッカーに染まり、
プロサッカー選手として成長していくリュウジが主人公。

現地での差別を持ち前の負けん気と技術で克服し、
世界で通用するテクニックと勘と強さをものにしていくリュウジは、
まるで実在する選手のようだし、
字面を追うだけでゲームがイメージできてしまう描写は、
観戦したことしかないという野沢の文章力の賜だと思う。

でも。
実際のサッカー界を舞台に進行するフィクションの中で、
アテネ五輪、ブラジルとの決勝戦で惜敗するラストを読んで初めて、
これが単なる3部作ではないことに気が付いた。


野沢尚はもっと書くつもりでいた。
リュウジの生き様を通して、
ゲームや報道からは伝わりきれないサッカーのおもしろさとか、
難しさとか、神々しさとか、そんなものを伝えたかった…はず。


なのになぜ、と思う。

勝利の歓喜を味あわせることなく、計り知れない可能性を秘めたまま、
なにゆえ自ら生み出したリュウジの成長を止めてしまったのか。


どこを探しても、いくらキーボードを叩いても、
決して手に入らない『龍時』4作目。

没後2年を経て、野沢尚の不在がこんなに口惜しく思える日がくるとは、
思ってもいなかった。

合掌。
スポンサーサイト



| オススメ | 12:49 | comments:4 | trackbacks:0 | TOP↑

| PAGE-SELECT |