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なおねおなおん -naoneonaon-

いつか振り返る日のためのワタシメモ

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ドラマの中のもうひとつのドラマ

偶然。奇遇。
神様のいたずらなんて言い方もしたりするけれど、時として、本当に神様が手を加えたとしかいいようのないような偶然が起きることがある。

『北の国から・遺言』は、まさにその偶然が重なっていた。重なったことで、ドラマというフィクションにあたかも実話であるかのような深みが生まれていた。

地井武男演じる中畑のおじさんにはモデルがいた。富良野で製材所を経営する仲世古さんという人だ。仲世古さんはこの最終回の撮影が始まる半年前に、奥さんを癌で亡くしている。この脚本は奥さんへの鎮魂歌の意味が込められていた。そうして皮肉なことに、地井がこの最終回の出演交渉を受けたとき、地井本人の奥さんが癌と戦っていたのだ。地井が当初、出演を拒んだのはいうまでもない。闘病中の奥さんを置いて、長いロケに出かける不安もさることながら、あまりにリアリティを帯びてしまいそうな役どころをこなすことに対して抱いた恐れは、想像に余りある。
けれど彼の背中を押したのは、奥さんの励ましだった。仲世古さんの奥さんに対する鎮魂を込めて演じてほしいという奥さんの言葉で、地井は出演を決めたのだった。
結局撮りが始まる3ヶ月前に、地井の奥さんはあっけなく他界する。
ロケ中に亡くなって仕事に支障をきたさないようにという、奥さんの気遣いのように受け取れなくもない。そうして撮影が進み、女房の癌が再発し、もう長くはないということを五郎に告白するシーンで、地井は現実へとどっぷりと引き戻される。台詞の途中から泣くはずが、スタンバイの時点からもう涙が止まらない。地井が落ち着くのを固唾を呑んで待つスタッフ、そして五郎。地井本人が恐らくは一番危惧したシーンであり、その不安は的中したのだ。いくら抑えようとしても抑えられない激情が、とめどない涙となって地井の頬を濡らす。シナリオ通り演じることが無理と判断した地井は、結局そのまま演技に入った。ゆえにそれは演技を超えた、まさに体の奥から絞りだされるような、観るものの心を揺さぶる涙だった。最終回の中で、私が一番泣けたシーンだったのは当たり前である。

昨夜オンエアされた『ドキュメンタリー 北の国からの真実』を観た人は多いだろうから、これ以外にも山とあるエピソードをいまさらいうまでもないけれど、多くのスタッフとキャストのこだわりと、魂が込められたからこそ生まれた『真実』は、最終回を迎えてもなお、永遠に語り継がれるその人気を裏打ちしている。
名残惜しい人、もっと知りたい人は、ここへ行ってみるのいいいだろう。

http://www.kitanokunikara.net/

私はずいぶんと時間が経ってから、富良野に、麓郷に、もう一度いってみようと思う。

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